先輩インタビュー【看護師】秋葉

あさひの丘病院 2階病棟

看護師

秋葉 雅輝

2024年4月入職

- 医療の仕事をしようと考えたきっかけは何でしょうか?

具体的に意識したのは高校3年の頃です。当時は進路に悩んでいて、特にやりたいこともないのに大学に行くぐらいなら、なにか方向性を決めた方がいいなと思っていたんです。その時に、すでに看護師として働いていた姉から看護師を薦められました。医療の仕事は全く考えていなかったし、僕には無理じゃないかとも思ったんですが、どこかでちゃんと頑張らないといけないぞと自分に言い聞かせて看護学校に進学しました。
午前中は看護助手として病院で働きながら、午後の授業に通って2年間でまず准看護師の資格を取り、次に准看護師として働きながら正看をとるために午後は学校に通う、という生活を3年間続けて看護師資格を取りました。

- 高校卒業後、仕事をしながらひとつひとつステップを進めていって無事に正看を取られました。そこで転職されるのですね。

それまでいた病院も良いところでしたが、どちらかというと療養向きの病院だったんです。看護師になったからには、少なくとも最初の3年ぐらいは急性期に携わっていた方がいいのではないか、という考えがあったので転職しました。新しい職場に選んだ病院は、基本は外科なのですが、混合型というのか、内科、地域包括などもあって、いろいろな患者さんがいました。そこで勉強をしました。

- 転職してみて、いかがでしたか?

最初のうちはもう何がなんだか、という感じでしたね(笑)。
検査1つとっても前の病院とはやり方が違いますし、患者さんのどこを観察すれば良いのかとか、全くわからなかったです。 最初の頃は本当に勉強不足を感じてしまって、じっさい先輩にもそう指摘されましたし、ちょっと辛い時もありましたけど、でも今となってはやはりその病院で勉強して良かったなと思います。

- ハードではあったけれどもやはり看護師として勉強になってよかったと。そのあとまたどこかのタイミングで転職を考えたわけですね。

はじめから3年間をひと区切りとして考えていたんです。3年やってみて、もっと続けたいと思えば続けようと思ってはいました。職員もいい人たちばかりでしたしね。でも、もともと精神科に興味があったので、予定の3年を迎えた時にやはり精神科に転職しようと決めました。

- 精神科に興味があったというのは、やはり実習での経験でしょうか?

はい、実習の時にそう思いました。実習病院は昔ながらの精神科の病院で、基本は慢性期病棟だったんですが、僕にとって一番楽しい実習でした。就職するなら精神科がいいなと、その時も思ったんですが、さっきお話した通り最初は急性期でいろいろな疾患を経験しておいた方がいいと思って外科病院に行ったんです。

- 精神科の実習で、特にどのようなところが楽しいと思ったのでしょう?

その時に僕が担当したのは20歳ぐらいの患者様でしたが、病状もだんだん回復してきて、「じゃあお家での様子をみましょうか」ということになって、試験外泊をしたんです。そうしたら自宅で不穏になって戻ってきてしまった。外泊前には僕たちとまるで変わらない普通の生活が出来ている様子に見えたのに、1歩病院の外に出て、家族や他の人たちと関わりながら生活すると、病院では普通にできていたことができなくなってしまう。そうしたちょっとした環境の変化で病状が大きく変わってしまうというところに、とても興味を惹かれました。
その方の病名は統合失調症でしたが、僕には想像もできないような不思議な世界を頭の中で考えていて、話を聞いていてそういう考え方がすごく面白いとも感じたし、興味深かったです。もちろん実習に行く前に疾病について勉強はしますけれども、実際に見るのは初めてだったので、衝撃も大きかったです。

- 実習の時のそうした興味もあって、次の仕事に精神科を選ばれたのですね。あさひの丘病院以外にも、他の病院の候補はありましたか?

いくつかの病院を見学しました。実習病院のような昔ながらの精神科の雰囲気を想像していたのですが、あさひの丘病院はいい意味で裏切られました。単純に病棟の窓ガラスも大きくて陽当たりも良いし、それだけでも精神科っぽくないと感じました。あとは、やはりスーパー救急病棟があるというところに惹かれました。

- 救急・急性期がやりたいという人もいれば、慢性期のほうが性に合うという人もいます。秋葉さんは初めからスーパー救急希望だったのですか?

精神科に興味を持った最初のきっかけは実習で行った慢性期病棟でしたけど、その後外科で働いてみて、やはり自分の性格に合っているのは慢性期よりも急性期だなと思いました。ものすごく忙しいのが好きというわけでもないんですが(笑)、あまりゆったりとしているよりも、何かしら次々とやることがあって刺激が多いほうが自分には向いているなと思いました。

- 転職して新しい環境に移ることを躊躇する人もいると思うのですが、ここまでの話を伺っていると秋葉さんにはそういう腰の重さはなかったように見えます。それは性格的なものでしょうか?

どうなんでしょうね。新しい人間関係を作ったり、そういう部分で多少の不安もありましたし、億劫に思う気持ちは僕にもないわけではないです。慣れた環境にそのままいる方が楽な部分もあります。でもやっぱり精神科に行きたいという気持ちが強かったし、それほど悩むこともなく、なんとかなるだろうという気持ちでした。

- 実際に来てみてどうでしたか?

やはり来てよかったなと思います。 大変だと思ったことはあまりないです。すごく楽しいですね。新しい環境にも割とすんなり入れたような気がします。忙しい時はすごく忙しいのですが、ありがたいことに師長をはじめ 職員の皆さんも優しくしてくれますし、仕事内容も含めて僕が希望していた環境ですしね。ニュースなどで職員が患者さんを下に見るような精神科病院の問題を目にすることがありましたが、そういうのも全くなく、職員と患者さんが対等というのかな、そういうところにも率直に驚きました。

- スーパー救急で来られるような、本当に状態の悪い時の患者さんを受け入れることについては、どうでしたか?

最初はやっぱり驚きましたね。人って病気でこういう風になってしまうのかと。暴れる患者さんを全然抑えられなくて、リミッターが外れると人ってこんな力を出せるのかとか。自分だけの世界に入ってしまって僕たちの言っていることを全く聞いてくれない人もいたり。いろんな病状の人がいてすごく驚きました。
でもいろいろな治療を模索していくと、最初はそんなにも悪かった人がだんだん良くなってきて、やがて退院や転棟をしていく。そんな変化を見ると、精神科ってすごいなと率直に思いますね。

- 新入職員の研修会で、秋葉さんは「外科は検査数値を見て、傷口見て、病状をみれば、病気の程度がおおむね把握できるけれども、精神科の患者さんの状態は外から見てもよくわからない」という話をしていましたね。

そうですね。見た目から「状態が悪いな」というのはある程度わかりますけど、どういう理由でそうした症状が出ているのか、人によっても違うのでわからないです。昨日は良かったのに今日はダメということもあって、把握するのは難しいです。僕が何を言っても聞いてくれなかったのに、担当する人を変えて対応したらうまくいったとか。広い意味でそれも看護技術の1つなのかもしれませんが、そういうところもすごく面白いなと思いますね。

- 秋葉さんの話には「面白い」「興味が湧く」という言葉がよく出て来ますが、自分のどういう部分が精神科に向いていると思いますか?

うーん、なんだろう。入院直後の状態の悪い患者さんを見て思わず引いてしまったり、嫌悪感を覚えてしまう人もいるのかもしれませんが、僕としては全然そういう気持ちはないですね。驚きはしますけど抵抗感はないです。
患者さんによってはすごく言葉遣いの良くない人がいますから、僕もその場では嫌な気持ちになりますし、暴力リスクの高い人と向き合うのはやはり怖いなと思います。でも仕事が終わったら忘れてしまうんです。仕事の失敗や後悔を思い出すことがないわけではないんですが、でもしょうがないやって割り切る。その時の辛い気持ちをいつまでも引きずっていても仕方ないから、しっかり反省はするけど切り替える、という感じでしょうか。

- なるほど。気持ちの切り替えが上手なのかもしれませんね。秋葉さんは、今後目指したいことなどがありますか?

今は1つ1つ、着実に知識をつけたいですね。まだここに来て半年なので、これから長く勤めて、知識を深めていきたいなと思います。知識が深まれば、患者さんの病状についての理解も進むし、病気や薬についての知識が広まればもっと仕事が楽しくなるだろうなと思います。だから現場での知識をつけていきたいです。

- 最後に、他科から転職してきた立場として、精神科への転職を考えている人に伝えたいことはありますか?

僕はあさひの丘病院しか知りませんけれども、もし精神科に進もうかどうしようかと悩んでいる方がいたら、一度見学に来てみたらどうでしょう? いい意味で驚くんじゃないかなと思います。ここは職員の皆さんも優しくて雰囲気もいいですし、興味があるなら、あまり難しく考えずに飛び込んでみたらどうでしょうか。来てみて絶対損はしないと思うので。それを伝えたいです。

- ありがとうございました。