インタビューした先輩
あさひの丘病院 薬剤科
薬剤師
加藤 将
2024年2月入職

まずは幅広く経験し 薬剤師としての対応力をつける
- 最初の就職先である総合病院へはどのようなきっかけで入職されたのでしょうか?
大学研究室の先生を通じた紹介です。自分としては、複数の科を持っている相応の規模の病院で経験を積んで、将来的にいろんなことに対応できる力を付けたいという希望がありました。薬のことを知識として学んではいても、現場での実際の使われ方は知らなかったので、それを勉強したかった。病院か薬局かで悩んだ時期もありましたが、やっぱり実際に投薬されたあとの過程を自分の目で見たくて、最終的に病院を選びました。
- 総合病院ではいくつかの科を担当されたのですね。
「この領域をぜひやってみたい」という科がまだ見つかっていなかったので、まずはいろいろと経験したかったんです。その中から興味の湧く領域が見つかればいいなと思って、分野としてはかなり幅広く関わることができました。

病棟担当になると、そのフロアの特徴的な疾患が学べるので、さまざまな担当科(病棟)を経験しました。その病院では診療所に薬剤師を派遣していたので、派遣先の薬局で一人で働くような経験もしました。
- なんでも一通りできないといけないのですね。
そうですね。初めは薬局の中で調剤に関連した業務が主ですが、そのあとは病棟に出て、薬の管理や患者さんの服薬をサポートしたり、それ以外には多職種が協働するチームとしての活動なども経験しました。どんなポジションでも動けるようにと、異動の多い職場で苦労したこともありましたが、いろんな経験ができて良かったなと思っています。
- 早い段階から、いろいろな職種と関わることを意識していたようですね。
「チーム医療」という考え方が定着してきたタイミングでの入職でした。その職種からしか見えないこともあるから、いろいろな視点を共有できるのはメリットだと思っていましたし、他の職種との関わりは自分としても楽しかったですね。
- 他部署のスタッフとコミュニケーションをとるのがそれほど得意ではない人もいると思いますが、加藤さんには苦にならなかったのでしょうね。多職種での協働が大切だという意識が最初からあったのでしょうか?
最初からそれを強く意識していたわけでもないのですが、そのとき所属していたチームのメンバーは、みな同じ方向を向いて仕事をすることが出来ていたので、結果として仕事が自然とうまく進んでいきました。そういう活動を通して、いろんな職種が協力して同じ方向に向けて力を合わせる大切さを学びました。
- チーム活動というのは、具体的にはどのようなものだったのですか?
薬剤師として担当病棟を持ちながら、それとは別に緩和ケアチームに所属していました。活動としては、医師、看護師、管理栄養士、作業療法士、ソーシャルワーカーなどのチームメンバーと一緒にいろいろな病棟をラウンドしたり、対象の患者さんについてカンファレンスで情報を共有し、抱えている問題を解決する方法を検討します。その他にも、依頼に応じてその時に動けるメンバーが患者さんを訪問して課題を持ち帰り、それについてチームで検討します。
自分の担当病棟以外にも緩和の対象となる患者さんがいますから、自然に病棟横断の関わりが発生します。週1回のカンファレンスに向けて日頃から情報収集に努めていました。
- 担当病棟での仕事とチームでの仕事、時間配分としてはやはり前者のほうが大きかったのでしょうか?
そうですね。でもチーム活動は面白かったし、自分が必要とされている感覚も強く持てたのでやりがいを感じていました。
あとは、その頃ちょうど、今後のキャリアが気になる時期だったということもあるかもしれません。5年目ぐらいになると、このあとどのような経験を積めば薬剤師として成長できるだろうか、と考えるようになり、上長にも相談しました。そのときに「チーム活動に加わって視野を拡げることも大事」と言われたんです。それもあって頑張ろうと思った、という面もあります。でも純粋に、多職種で仕事をするのは楽しくて勉強にもなりました。
転職 ~ 生活パターンの変化と
新たな環境への挑戦
- そのように充実した仕事をされていたなかで、転職を考えるきっかけは何だったのでしょうか?
一番のきっかけは子供のことです。家からはちょっと遠い職場だったもので。小学校入学を期に時間的制限が増えてきたために、通勤を続けるのが厳しくなってしまいました。続けるために時間調整や勤務形態の変更などを検討してもらいましたが、子供と過ごす時間やワーク・ライフバランスを考えた結果、最終的に転職という形になりました。
- 生活パターンが変わって通勤が難しくなったのが第一の理由だとして、他にも動機のようなものがありましたか?
自分としては、この病院で多くの経験をさせてもらったことに感謝はしていましたが、やりたいことはひととおりできたかなというタイミングでもあったので、今までの経験を活かしながらまったく違う環境で新たな挑戦をしてみたいという思いもありました。

というのも、緩和ケアチームの活動のなかで、精神を病む患者さんと接する機会も多かったんです。がんの診断を受けた方に告知のタイミングから関わっていくチームなんですが、やはり病状の進行にともなって塞ぎこんでしまう方がおられます。でもその病院には精神科がなく、私自身も精神症状に対する薬物治療経験が少なかったことから、自信を持って提案ができなかった。苦しんでいる患者さんを前に、薬剤師としてのパフォーマンスを発揮できなかったことが本当に悔しかった。この体験が精神科病院を選ぶきっかけになったと思います。
- 転職にあたっては精神科を最優先に検討したのでしょうか?
いえ、転職を考え始めた頃は、やはり総合病院を中心に考えていました。あさひの丘病院は転職エージェントが勧めてくれたんです。家からも近いし、条件にも合致しているから受けてみてはどうですか?と。
そんなきっかけで受けた病院でしたが、病院内を見学するなかで、もともと持っていた精神科単科病院の閉ざされたイメージとは違って、開放的で明るい印象を受けました。そして転職の理由でもあり、いちばんの懸念だった子供のことについても配慮していただけました。面接の際に「うちの薬局のスタッフにもお子さんをお持ちの方は多いですよ」と言ってもらって、勤務時間の調整などいろいろな話がすごくスムーズに進んで安心感があり、こちらの病院を選びました。
あとは先ほども言ったように、やはり精神薬で患者さんの期待に応えられなかったことが悔しかったんですよね。これはもう純粋に。他の薬だったら相談に乗ってあげられるのに、精神科領域になると心もとなくなる。それが薬剤師として悔しかった。
そういう想いが内心であったうえで、病院の雰囲気が一番よかった、というのが最終的な決め手になりました。
初めての精神科経験
いろいろなことを貪欲に学びたい
- 実際にこちらに来てみてどうでしたか?
思っていた通り、居心地はとてもいいです。薬局の中では最年少なので、周りからいろいろ支えてもらっています。精神科領域の経験はほぼゼロなので、日々知識を蓄えながら働いています。困ったことがあっても、頼りになる先輩薬剤師さんが居てくれるので、とてもありがたい環境だなと思います。
とにかく今は病院と精神科に慣れることを最優先でやっています。薬のことだけでなく、病棟のカンファレンスや、委員会活動、病院で開催したお祭りの会議などにも参加させて頂いています。病棟での服薬指導も含めて患者さんとも積極的に接していきたいし、いろんな治療に携わっていきたいですね。
- 病棟で患者さんと接するのは前職での経験もあるから得意でしょうね。
一般科での経験はありますが、まったく同じような接し方ではいけないし、そのあたりも探りながらやっている感じですね。一般科の患者さんに比べると、病状の良し悪しが外からわかりづらいなと感じるので、接し方には特に気を付けています。そこが難しさでもあり、逆に面白さだとも思っています。
対応に困ることもありますが、いろんな人に相談してアドバイスをもらえる環境です。たくさんの患者さんと接し、これからいろんな経験をしていきたいと思います。
- 今後やりたいことなどはあるでしょうか?
せっかく精神科専門の病院にきたので、この分野で活躍できる薬剤師になりたいです。本で勉強するだけじゃなくて、急性期から慢性期まで幅広い症例を経験できる病院で、実際に様々な症状を抱える患者さんと接することができるのは貴重なことだと感じます。こうした恵まれた環境を活かして、専門資格の取得も目指していきたいと思っています。

- 最後に、これから転職を考えている薬剤師の方にメッセージをお願いします。
あさひの丘病院は、明るい病院イメージと職種間の関係の良さからとても雰囲気の良い病院です。薬局内も常に皆で協力して業務を担っており、私のように初めて精神科病院で働く方にも安心して勤められる環境が整っています。休日の調整なども相談し合って決めていけるので、充実したワーク・ライフバランスを保てるのも魅力です。ぜひあさひの丘病院で一緒に働いてみませんか?
- ありがとうございました。