インタビューした先輩
あさひの丘病院 4階病棟
看護助手
久保田 由香
2015年入職

相手の顔を見ながら
仕事をしたい
- 看護助手は未経験で病院に来られたとのことですが、その前はどこかでお仕事をされていたのでしょうか?
グループホームで食事を作る仕事をしていました。でもそのうちに、料理を作るのではなく介護する側の仕事に興味が出てきたんです。そちらのほうが自分には向いているんじゃないかって。
- どのようなところが自分に向いていると思ったのでしょう?
じかに人と接して会話をしながら、利用者さんの表情を見て、ああ喜んでいるなとか、相手の様子を直接感じられるほうが自分に合ってるいるかなと思いました。
- その職場で介護の仕事に配置転換してもらうことは出来なかったのでしょうか?
調理スタッフはパートでしたが、介護スタッフになるには夜勤必須の社員になる必要があったんです。私は家庭の事情で夜勤はできないので、昼間だけで介護の仕事が出来るところを探したら、家からも近いこちらの病院で看護助手の募集をしていたんです。それで応募させていただきました。
- グループホームでは、介護の仕事を横で見ていたから自分に向いていると思ったのだと思いますが、病院の看護助手の仕事はそれまで見たことがなかったですよね? 具体的にわからない仕事を始めることに、抵抗や迷いはなかったのでしょうか?
たしかにそうですね。でも、抵抗があったかと聞かれれば、特になく結構すんなり決めた気がします。

一度こちらの病院に見学に来た時に2階と4階を見せていただきました。採用になったらどちらかに配属されるということでした。グループホームに比べるとずいぶんたくさんのスタッフさんがいて、その中で患者さんと接する仕事なんだな、とわかったんですが、自分もそこで働いてみたいな、という方に自然と気持ちが向きましたね。
はじめての看護助手
- 実際に始めてみて、グループホームでイメージしていた介助の仕事と比べて、いかがでしたか?
入職後は2階病棟に配属されました。行く前は患者さんのお世話をしようという気持ちが大きかったんです。相手は病気で来られている患者さんなのだから、自分がいろいろとやってあげなきゃ、と。
ところが実際に行ってみたら勝手が違いました。2階は年齢の若い患者さんも多くて介助の仕事は少ないし、むしろこちらが励まされるというか、患者さんのほうから「新しく入った人なのね」と声をかけてくれて、慣れない私を気遣ってくださった。すごく優しい患者さんが多かったです。嬉しいな、ありがたいなと思いました。そういう形で患者さんと接することの楽しさを覚えましたね。
- 最初に良いスタートが切れて良かったです。ただ、そうは言ってもまったく新しい仕事ですから、不慣れで苦労したこともあったのではないでしょうか?
「苦労」というのとは違うかもしれませんが、気を遣うことはありました。たとえば接遇でしょうか。患者さんに対して常に接遇を忘れずに、言葉遣いにも気を付けるように、と最初に言われました。
こちらが気付かないことでも患者さんが気付いて気にする場合がある。誰かと接している姿を他の患者さんも見ているし、病状的に非常に細かいところを見ていることもあるから、掃除も、言葉遣いも、細部まで注意を払うようにと。そういうところを2階で学びました。
- 細かく気を付けるようにと言われても、人にはもともとの性格もあるし、話し方の癖みたいなものもあります。細かく注意を払うというのは、具体的にはどうしたら良いのでしょうか?
たとえば、部屋に入る時にはノックをして、次にカーテン越しに呼びかけるとか、声掛けが大事だと言われました。そういうのは自分の中で慣れが出てくると忘れがちなんですが、入院したばかりの患者さんにとってはこちらは初対面のスタッフですし、常に意識していかないといけません。

タオルの畳みかたとか汚れのこともあります。リネン業者から届いたばかりのタオルにクリーニングしても落ちない小さなシミが付いていることが稀にあります。潔癖な患者さんはそれが非常に気になる。これはいま届いたばかりの綺麗なタオルなんだけどな、と私の中では思っても、でもそれは患者さんの中ではダメなんだからダメなんだよ、取り替えてあげないといけないんだよ、と。そういうところに初めのうちは特に気を配っていましたね。
病棟によって
仕事内容がまったく違う
- 2階病棟をしばらく担当したあとで4階病棟に異動したわけですが、2階と4階とでは同じ看護助手の仕事でも随分違いますか?
いや、まったく違います。もう本当に、ゼロからのスタートみたいな感じになりました。異動するときも、周りのスタッフさんから「転職すると思ってください」と言われたんです。その時点で私も2階で3年ぐらいやっていたんですが、もう全く何も通用しなかったです。
- 具体的にはどのように違うのでしょう?
2階はやはり短期入院が多く、患者さんの入れ替わりも激しいですから、毎日の入退院の準備や、部屋が変わる時のベッド移動とか、日々そういう仕事が次々とやってきます。
4階はもう少し患者さんとの距離が近いというのでしょうか。身体介護が多いせいもありますが、ご家族の話や以前されていたお仕事の話、そうしたいろいろなお話をしながら介助にあたることが多いです。そうした関わりが常にあるというのが4階の特徴だと思います。そんなやりとりの中から患者さんの笑顔を引き出せた時などは、良かったな、嬉しいなという気持ちに私もなります。
あと、4階は看護助手の人数も多いですし、みなさん本当にパワフルでびっくりしますね(笑)。
- 新入職員の研修会で、秋葉さんは「外科は検査数値を見て、傷口見て、病状をみれば、病気の程度がおおむね把握できるけれども、精神科の患者さんの状態は外から見てもよくわからない」という話をしていましたね。
そうですね。見た目から「状態が悪いな」というのはある程度わかりますけど、どういう理由でそうした症状が出ているのか、人によっても違うのでわからないです。昨日は良かったのに今日はダメということもあって、把握するのは難しいです。僕が何を言っても聞いてくれなかったのに、担当する人を変えて対応したらうまくいったとか。広い意味でそれも看護技術の1つなのかもしれませんが、そういうところもすごく面白いなと思いますね。
飛び込んでみるのが大事
- この記事を読まれている方の中には、看護助手に興味のある方もおられるかもしれません。2つの病棟で仕事をしてきた久保田さんからみて、病院の看護助手としての適性のようなものは何かあるのでしょうか?
どうなんでしょう。患者さんや病棟スタッフを含めて、たくさんの人の中で働くことになるので、人と接することが好きな人の方がいいかなとは思いますが、中にはそれほど口数の多くない人だっていますし、私も初めからそんなに喋れたわけではないです。
でも、この病院はどの階でも教えるのが上手なベテランの人が多いですし、看護師さん助手さんに関わらずみな結構声をかけてくれるので、初めての人でも入って行きやすい職場なんじゃないかなと思います。
- 大人数の中で仕事するので、人と話すのが嫌いじゃなければ、よりやりやすいだろう、というぐらいのものでしょうか。
そうですね。人と関わるのがまったく苦手、となるとちょっと厳しいのかもしれませんが、あとはあまり気にしなくてもいいのかなと思います。

- 看護助手をやってみたいという人が病院見学に来て、もし久保田さんのところに話を聞きに来たら、どのようなアドバイスをされますか?
私としては、「ここに気をつけた方がいい」とか「これはダメ」とかいうよりも、「周りの方がサポートしてくれるので思い切って飛び込んでみるのが大事ですよ」と言いたいです。
なにしろ、病棟を異動するだけで転職したのかと思うぐらい仕事内容が違うわけですから、何が良くて何がダメかなんて、やってみないとわかりません。
たとえ「この仕事は無理、合わないかも」と初めは思ったとしても、周りの人との関係性がよければだんだん馴染んできて、「この仕事も嫌いじゃないな」と思えるようになるんじゃないかと思います。だから、あまり細かいことを気にせず飛び込んでみていいんじゃないかと私は思います。
- 難しく考えずに、興味があるなら是非やってみましょう、と。
ありがとうございました。