思春期患者の外来治療

思春期患者の外来治療

昨今、思春期および児童の精神科医療のニーズが増しており、公的病院においては、初診の待機期間が1年を超えることも稀でなくなっています。
そのような社会的背景を考慮し、当院においては2025年4月より、思春期の患者さんに対応した初診枠を設けています。原則的に、公的病院や児童相談所などで思春期の患者様を診療した経験のある医師が診察いたします。

思春期の精神科医療の現状

従来、我が国の児童思春期の精神科医療は、主として大学病院や県立病院などの公的病院が担ってきました。しかし、21世紀に入って「発達障害」の診断概念が一般社会に知れ渡るようになったこと、学校や児童相談所といった教育・福祉機関から医療機関に診療を依頼される機会が増えたことなどから、公的病院のみではニーズを満たせなくなりました。現在、横浜市内の一部の公的病院では、待機期間が1年を超えることもまれではありません。

当院における思春期初診

そのような社会的背景を考慮し、当院においても、思春期の患者さんに対応した初診枠を設けることに致しました。診察する医師は、児童思春期の患者さんのみを診療する専門医ではありませんが、公的病院や児童相談所などで思春期の患者様を診療した経験を持ちます。
なお、当院は精神科病床を有しますが、病棟の構造の制約などから、思春期の患者様の入院には対応できておりません。ご了承ください。

思春期の精神科診断の特性

子どもの精神症状を聴取して正しく診断するためには、大人以上に丁寧な生育歴の聴取が必要になります。それは、以下のような理由によります。
本来、精神科の診断基準は、子どもも大人も違いはありません。ただし、子どもは年齢が若いため、症状が出現してからの時間経過が短く、しばしば症状が完成していません。また、症状を言葉にする能力が未熟なことも多いです。さらに、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)のように、診断のために生育歴の情報が必須の病態もあります。このような理由により、丁寧な生育歴の聴取が欠かせません。
当院の思春期初診においては、時間をかけて生育歴を聴取することにより、誤診を極力避けるように努めます。また、必要に応じて、適切な心理検査を行います。

当院の外来治療

現在、当院では思春期の患者様に対する特別な治療プログラムは設けておりませんが、必要に応じて適切な薬物療法を行ったり、適切な診断に基づいた基本的な対処方針を示したりすることが可能です。また、一人一人に適した教育や福祉の支援サービスを紹介したり、心理カウンセリングをお勧めしたりすることもできます。

ご受診を検討されている方へ

思春期の精神的な不調は、ご本人もご家族も対応に戸惑われることが少なくありません。
当院では、医学的観点から的確な評価と方針提示を行い、必要に応じた支援へとつなげる体制を整えております。

「医療機関を受診すべきか迷っている」「まずは専門的な意見を聞いてみたい」など、どのような段階でも構いません。
ご受診をご希望の際は、当院医療相談室までお問い合わせください。

早期の適切な対応が、安定した生活や発達支援につながります。
ご本人・ご家族にとって最適な医療をご提供できるよう、スタッフ一同、丁寧に対応いたします。

神奈川病院